綜合文化研究所 設立趣旨書
四つの領域「学校・生産・発信・交流」の基本的性格
最新更新日 2018.12.21
2004年4月28日に綜合文化研究所を設立しましたが、ここ総合文化研究所のホームページに書いている事業がすでにおこなわれているということではありません。
ここには、これから創り上げていくためのコンセプトが書き表されているのです。
綜合文化研究所が想定し構想している文化領域には4つの領域があります。
4つの領域はそれぞれに独立してあるのではなく、全体を構成するかたまりとしてあります。これらの領域がシームレスに融合されていくことで、新しい私たちのコミュニティが生成されていくことを目論んでいるのです。
綜合文化研究所の基本的な考えは、この新しいコミュニティをこれから30年間の移り変わりのなかで生成させていこうとすることなのです。
●四つの領域とは、
1、学校の領域
2、生産の領域
3、発信の領域
4、交流の領域 です。
このホームページは、この四領域のページを中心に編成されています。
それではここで最初に、綜合文化研究について考えてみます。
綜合文化研究とは、過去の歴史と現在社会の面全体を、大きな文化として認知します。
そこで、この大きな文化全体をどのように把握していくのかが必要になります。
その把握した文化全体を、今後、どのように把握した内容の問題点・不都合なところを変更させていくのか、ということを論証し、いい方へ実践していくことと定義しています。
この変更させる方向とは、「人間の幸福と希望」という言葉の中から立ち上る、感情に根ざした内容を求める実践学のこと、といえるかも知れません。
このように考えると、綜合文化研究は、学校の領域が研究の中枢場を占めるものであると考えます。ということから、総合文化研究所の最初の仕事は、各領域の人材を育てるための学校の設立に力を注いでいきます。
※2004.4以降、2004.11までに、あい写真学校、あい文学校、あい農学校、あい自然学校を設立しました。
学校の課題は、学校に参加する人々の「文化を考える視点」を作り出すことだと考えています。
個人が総合的な視点をもって、いかにして現状の発想から自由に構想できるか、ということが課題となります。
この意味で、綜合文化研究においては、政治・経済の論点から、宗教、哲学、歴史、文学や芸術といった論点、西洋と東洋の新しい統合の姿までをも、総合的な視点から論じられる人材が求められます。これは研究する人間としての理想像でもあります。
このようなとらえかたをすれば、人間存在の根源にせまるような、感覚的なものと論理的なものを統合した綜合指針が立ち現れてくる可能性があります。綜合文化研究所では、この視点から、綜合カリキュラムが提供できる研究活動をおこなっていきたいと考えています。
1 学校の領域について
学校領域は、綜合文化研究所の綜合指針を実践していくメンバー育成の現場です。
綜合文化研究の分類では概念上おおまかには4分野に体系分けをおこなっています。
第一群には、ジャーナリスト系、ディレクター系、および著述・編集系
第二群には、身体系、農業系、手工業系、およびデジタル領域系
第三群には、哲学・宗教系、文学・歴史系、芸術系、および社会科学系
第四群には、天文・生命体系、生物学系、および自然科学系
綜合文化研究では、各々の分野において実践活動をおこなっていくための理論および実践ノウハウを学ぶことで、個人がすでに持っている価値観の変革を試みていきます。これは個人が自立していくための重要なファクターとなります。
第一群は論述を主体として、アクティブに文化の外枠を構築していくためのカリキュラムです。
第二群は技術を主体として、アクティブに生産の現場を構築していくためのカリキュラムです。
第三群および第四群は研究を主体とする、アクティブに人間存在の根源を探るためのカリキュラムです。
これらの研究と実践を、具体的にしていく学校を「あい実践学校」と総称しています。
「あい実践学校」に学ぶ生徒は、第一群から第四群までの分野を、生徒の生涯のなかで総合的立体的に学びながら、各々の自立した考えにより、自分の生きるべき方法を選んでいきます。
生徒の生涯においては、概念的に分類されたジャンルを相互に横断しながら、生活スタイルを自ら作りだしていくことになります。
そこで重要なことは、個人は各々に生産の現場を手に入れることだと考えます。
2 生産の領域について
生産するものの基本を食料におきます。これは身体を維持するに不可欠なことです。
その次に創造力を発揮する芸術(アート)分野を得ていきます。これは精神を維持するものです。
このふたつの領域分野の生産を、同時におこなっていくことがこの先に求められる姿です。
個人はあい実践学校の課程を経過していく中で、生産や加工の工房を形成していきます。
工房は、生産のあり方と流通・消費のあり方を既存のシステムから新しい関係へ変更していく場所です。
その方向を想定すると、物品の商品化から切り離せされていく方向といえばよいでしょうか。生産と消費が同時におこなわれることを想定しています。
※自給自足体制、ローカルネットワークによる共同体構想があります
発信コンセプトで「カフェ&プレス」構想を明らかにしていますが、これが新しい関係のネットワークを接合させる場として機能させようと考えています。
これからの時代は、ますますデジタル技術革新の進展が予測できます。総合文化研究所では、このデジタル技術領域を、新しい人間関係を創るツールとして積極的に活用していこうと考えています。
その第一歩はデジタルネットワークによるバーチャルな場としての「カフェ&プレス」です。
☆カフェ&プレス あい実践学校の生徒はデジタルネットワーク構築のためのスキルを手に入れます。と同時に、具体的な場としての「カフェ&プレス」の開業を目論んでいきます。
◎工房では生産と加工を実践します。
綜合文化研究を学校領域において研究していく当面のテーマは、現在の世界潮流である世界均一化・統一化の波(グローバル化)をどのようにとらえて、新たな意味を持つグローバル化をめざすのかを指向しなければならないと考えています。
工房はそのグローバル化されるなかで研究開発される、先端科学の芸術的成果を享受しながら、応用展開していくことをも念頭においていきます。
綜合文化研究とは、単に過去に培われた共同体のあり方を理想とするものではありません。
生産の領域において工房が機能しはじめるまでの期間をおよそ今後10年間と想定しています。
その第一段階として、工房の主宰者育成を目論まなければならないと考えています。
このために当面は、その専門家によって工房が主宰されることを想定します。
あい実践学校の生徒は、この工房に参加所属することにより、生産の現場を体験していきます。後々に専門家として自立していくプロセスを自ら作り出すのです。
※現場として2004年中に、写真ワークショップ京都と京都農塾を確保しました。
第二段階として、あい実践学校生徒のネットワークから工房の主宰者が出現していくことを目論みます。ここから生まれていくネットワークが社会的存在として認知され価値観変容の原動力となっていくことを想定しています。
このレベルにいたるまでの期間を今後20年間程度と想定しています。
第三段階には知・食・衣住での新しい生産者と消費者のネットワークが生まれています。形態は現時点での発想に基づいて指向することよりも「カフェ&プレス」の活動が活性化されていく過程で、その担い手により明確にされていくことを想定します。現時点(2005.3)であれば生活共同体をイメージしても参考になるかと考えています。
このことを達成していく過程はおよそ今後30年間の波動として想定しています。
2004年4月28日に綜合文化研究所が設立しましたが、設立テーマは、「新しい人間社会の構造を創りだす」ことです。これから長期にわたるプロジェクトの始まりとなりますが、この先の時々の達成基準は、常に参加する人の「幸福である感覚と希望があるという感覚」が達成されつつあるかどうかということに尽きると思います。
3、発信の領域
個人のさまざまな情報が発信される場所を「カフェ&プレス」と名づけましたが、情報発信の具体化として「むくむく通信社」を綜合文化研究所と同時に設立しました。むくむく通信社では、情報発信を共同で運営されるメンバーを募っております。
2004年4月28日に組成された「むくむく通信社」では、さまざまな分野でWEB展開を始め、むくむく通信を主宰しています。
むくむく通信社では、ネットワーク上にグループのブログ・ホームページを順次開設しており、2005年3月末現在、直営では4つのホームページ、6つのコミュニティ・ホームページ、20サイト前後のブログ・ホームページを稼動させているところです。その他、関係する個人のホームページをリンクさせながら、☆むくむく新聞☆ を運営しています。
このネットワークの目論みは、商業資本の枠組みをしか利用できない宿命を負っていますが、この現実を認めた上でなにをどのようにしていけばよいのか、というノウハウを紡ぎだしていくことにつなげようと考えています。
※2004年12月現在の情報発信サイトは☆むくむく新聞☆をご覧ください。
4、交流の領域
新しい人と人の関係の環をつくっていくためのネットワーク創りです。
1、生産と消費とそれをつなぐ流通のネットワーク。
2、人間としてあるべき姿を「健康」という概念で導き出す健康のネットワーク。
3、生産したものを交換する「交換ネットワーク」。
交流の領域では、個人と個人のコミュニケーションのあり方を見つめなおすことから始めていこうと考えています。
WEB上では2005年3月現在、交流の場としてコミュニティグループを設定しています。
あい写真学校、むくむくネットワーク、あい文学校、綜合文化研究の各グループが交流の場として開設しております。
他に情報交換できるサイトとしてmsnに「写真ワークショップ京都」・「フォトハウス京都」・「あい文学校」・「あい農学校」・「あい自然学校」・「京都地域文化研究所」の6つのコミュニティを開設しており、ニフティサークルに「あい写真学校&写真ワークショップ京都」を開設しています。
交流の場としての具体的な場は、2004年5月から「京都農塾」が食料の生産と流通の場として、また2004年10月開校した「写真ワークショップ京都」が「写真学校」として機能しはじめています。
ここから始まる綜合文化研究所の活動が、ひとつの新しいコミュニティを形成していくことを夢見るのですが、夢を夢に終わらせないように、さあ、ここから始めていきましょう!
nakagawa shigeo 2004.5.20初稿 2005.3.23改稿