総文研ギャラリー
2011.2.7〜最新更新日 2018.12.23
中川繁夫写真集
ドキュメント釜ヶ崎(抄)
1978〜1980
釜ヶ崎の写真について
ここにある写真を撮影してから、もう30年が過ぎています。どうして釜ヶ崎を撮るようになったのかという直接の理由は、いまもってよくわかりませんが、撮影していた気持ちのなかには、虐げられる人々の日々生活、といったものを記録したい。このような考えがあったと思います。
ここに展示しています写真の光景が、その後、過去のものになったかと問えば、決して過去のものではなくて、釜ヶ崎の労働者が置かれた状況は、いっこうに改善されていないと思っています。
たとえば、その当時から行われ、いまも毎日続いている「炊き出し」があります。その日食べるに困ったひとが、行政によってではなくて、善意のカンパとボランティアの手によって行われているという事実は、根底の問題がなんら解決していないことの反映だと思っています。
ここにいらっしゃるお顔の人々がその後どのように過ごされたかは判りませんが、多くの方々がすでに他界されておられることと思います。この写真展を開催するに当たって、その方たちにはこころよりご冥福を祈ります。
また、この場を提供していただいた「RENTAI FESTA 2008実行委員会」のみなさま、そして展示に労をとってくださった釜ヶ崎地域合同労組の稲垣浩さんには、心より感謝いたします。
中川繁夫 2008.4.27
ここに中川繁夫の代表作「釜ヶ崎」のシリーズからの一部を掲載します。
釜ヶ崎に居住する人々の生活を追った「ドキュメント釜ヶ崎」シリーズと、
ポートレイト集「無名碑」シリーズがあります。
当時、「無名碑」については10年間の封印をこころ決めておりました。
撮影から25年が過ぎ去って、今やようやく、
発表させていただいてもいい時期だとの思いがあります。
ここに第一部22点の写真を掲載させていただきました。
写真集ドキュメント「釜ヶ崎」にまとめられた全52点からの抜粋です。
1978年秋から1980年夏までの2年間の記録です。
ここにいらっしゃるお顔の人々がその後どのように過ごされたかは判りませんが、
多くの方々がすでに物故者となっておられることと思います。
この抄録を発表するに当たって、その方たちにはこころよりご冥福を祈ります。
2004年7月22日 中川繁夫