関西の写真史
中川繁夫:著
タイトル
京都写真壁1982
<京都写真壁>
手元に明確な資料がないので記憶を辿って記述していきますが、京都写真壁のことです。京都写真壁という写真展示のスペースは、京都の地方裁判所の一筋南の通りにあった軽食喫茶店「DRAMA]の壁面で、倉本義久氏が経営していた店でした。1982年のいつのころだったか、そういう店があるという情報をキャッチしたので、訪問したのです。そのころ、関西では「東松照明の世界・いま!展」の開催準備で大阪を中心に若手の写真愛好家たちが集まっていたところでした。それとは関係のないところで、京都在住の学生や若い写真愛好家たちが、このスペースの壁面で、写真展を行なっていたのです。オーナーの倉本氏は、写真を撮っていて、自分が撮った写真を壁面に展示することから派生して、ひろがっていったのだと思っています。
第二回目の「フォト・シンポジューム京都」への出席要請を求めにいった記憶があるから、そのころ、わたしたちの方へと勧誘したのです。彼は、その求めに応じて、参加してきました。ぼくも、この京都写真壁でドキュメント釜ヶ崎の写真展を開催させてもらいました。使用料は無料、場としてはギャラリー。ぼくのほうは、1980年の初めに、河原町の繁華街の裏で、フリースペース聖家族、を立ち上げていた経験があったので、奇妙に話がすすんだように思い出されます。そのうち、いつのころか喫茶店経営が廃業され、必然的に「京都写真壁」もなくなった。主宰者の倉本義久氏の、その後の動向については、ぼくのレベルでは不明です。
最新更新日 2018.11.23